FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

秋なく虫をつかまえること

3時前に会社を出て日テレ通りのローソンまでお金をおろしに行く間にカネタタキ、ツヅレサセコオロギ、エンマコオロギ、アオマツムシ、ハラオカメコオロギの声を聞く。今こうして日記を書いている窓の外からもツヅレサセコオロギの声がかすかに聞こえる。秋なく虫の中でもツヅレサセコオロギの声がいちばんしんしんと冴えわたって独りでいるときの頭によく馴染む。ローソンの前で拾ったタクシーの運転手さんは舌を少し噛みながらしゃべる人できちんとナビで最短ルートを検索してくれる方だった、走りやすい道でおまかせしますよと言ってもいえいえそんな、とわざわざ車とメーターを止めてナビの操作をしてくれて、結論を先に言えば確かに安かった。ナビの設定が済んで車が走り始めてすぐに僕たぶん寝ちゃうんで近くにきたら一声かけていただけますかと言ってしまったからさほど眠くもなくて頭は冴えているのに目をつぶって頭を斜めに傾がねばならなくなった。虫の声のことを考えていた。鳴く虫の羽が美しいことを思った。なかでもいっとう好きなのはなんだろうと思うと、シバスズやマダラスズといった5ミリくらいの小さなコオロギたちの姿が頭に浮かんだ。彼らになぜこうもわくわくさせられるのだろう。昔、ごはんを食べ終わったらマンションの裏手の青空ガレージに懐中電灯とビニール袋を持っていき、石ころだらけの駐車場で鳴き声だけを頼りにマダラスズに少しずつ近づいて、そっと石を持ち上げては戻し、ようやく姿を見つけたら次はどうやってビニール袋に追い込むかを何時間もかけてやっていたのを思い出した。そうやってうちに連れて帰った彼ら小さなコオロギたちはおれにとってまさに宝物以外の何ものでもなかった。とにかく可愛くて、か細い鳴き声を心地好く聴きながら眠った。そのことを思うと、ついこの間の日曜日にさなえと一緒に連れて帰ってきた金魚すくいの小さな金魚たちが、水換えやフィルタのセットも甲斐なくポツリポツリと死んでゆくことの悲しさを少し思い出した。さて小さなコオロギたちはいつまでもおれにとっては宝石のようにきらきらしている。母と一緒にどこかあまり行ったことのない図書館に行ったおりに、日本中の鳴く虫たちを集めた図鑑のような本にすごく興奮したのを思い出した。シバスズ、マダラスズ、クサヒバリくらいだと思っていた小さな小さなコオロギたちが、実は何種類も日本に生息しているのを知った。触覚の先だけが白いのはなんという名前だっただろうか。その図鑑で存在を知った数日後、白鷺公園の芝生の中でその姿だけを見たことを今思い出した。図鑑のことと一緒に母を思い出して、あらゆるものから守られて何も恐れずに安心して過ごしていた子どもの頃を思い出して改めて親に感謝している。


Trackback

Trackback URL
http://kuronyu.blog93.fc2.com/tb.php/322-fa13015f

Comment

Comment Form
公開設定

archive
title list

全ての記事を表示する

link
category
visitors
free counters
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。